不妊鍼灸情報

世界の鍼灸事情です。日本より医療として活用している国もあります。

不妊鍼灸(針きゅう)の 効果は ?

・不妊学会誌からの情報
・日本生殖医学会情報
・世界の鍼灸情報
・日本国内の不妊鍼灸治療の新聞記事
・アメリカの生殖医学学会誌
・中国国内の不妊鍼灸治療の記事

不妊学会誌からの情報

「鍼治療で成功率アップ」

体外受精(IVF)を受ける女性が同時に鍼(はり)治療を受けると、妊娠の確率が65%高くなることが予備研究によって示され、英国医師会誌「British
Medical Journal(BMJ)」オンライン版に2月7日掲載された。

全カップルの約10~15%が不妊に悩んでいるといい、体外で受精させた卵を子宮に移植するIVFを選ぶカップルも少なくない。鍼治療がIVFの成功率を高めるという証拠は、これまでにもいくつか示されていた。
今回の研究は、米メリーランド大学医学部のEric Manheimer氏らが、IVFを受けた女性1,366人を対象とする7試験について検討したもの。

いずれの試験も、胚移植から1日以内に鍼治療を受けた女性と、疑似鍼治療(sham acupuncture)を受けた女性または鍼治療を受けなかった女性とを比較していた。その結果、鍼治療を受けた女性は、そのほかの女性に比べて妊娠す
る確率が65%高かった。しかし、妊娠率がもともと高かった試験では鍼治療による効果は少なく、有意差はみられなかったという。

「IVFの補助療法として鍼治療が有用と思われるが、裏付けにはさらに研究を重ねる必要がある」とManheimer氏は述べている。 米国鍼医学会(AAMA)元会長のMarshall
H. Sager博士は、「今回の結果は驚くには当たらず、鍼治療の利用でIVFの成功率を上げてきた自分自身の経験がこの研究によって裏付けられた。IVFを
受ける女性は、鍼治療により成功率を上げることができる」 と述べている。
(2009年2月7日 HealthDay Newsより抜粋) 。

日本生殖医学会情報

「不妊治療に針きゅう効果」

不妊症治療に針きゅう効果
体外受精を5回以上行っても妊娠できなかった不妊症の女性114人に針治療を行ったところ、約4割にあたる49人が妊娠に至ったと、名古屋市の明生鍼灸(しんきゅう)院と明治鍼灸大の研究グループが10日、大阪市内で開かれている日本生殖医学会で報告した。

49人のうち4人は自然妊娠だったほか、30人は治療後1回目の体外受精で妊娠に成功したという。

不妊治療の専門家が集まる学会で、針治療による効果を示すデータが発表されるのは珍しい。報告された114人の治療実績は、1998年2月~2006年6
月に、同鍼灸院を訪ねた不妊患者のうち体外受精を5回以上行っても妊娠しなかった女性のもので、治療は、週1~2回のペースで行われ、腹部や足などにある
婦人科疾患に効果があるとされるツボを針で刺激した

「2006年11月10日 中日新聞」

世界の鍼灸情報

子宮内膜改善で大幅に効果がでました

体外受精の前後に、女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。

米生殖医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精をうける女性百六十人を二つグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハリ治療を実施。

ハリ治療のグループには、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、ハリ治療グループの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の26.3%を大幅に上回った。

体外受精の妊娠率は、高くても三割程度とされた。

繰り返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性があると注目している。
「2002年4月30日 夕刊 読売新聞」

その他の記事

日本国内の不妊鍼灸治療の新聞記事

針灸治療で妊娠率アップ
体外受精の前後に、女性の体をリラックスさせるハリ治療をすると、妊娠率が大幅に向上するという研究結果を、ドイツと中国の研究チームがまとめた。米生殖
医療学会誌に掲載された報告によると、同チームは、体外受精をうける女性百六十人を二つグループに分け、一方に体外受精の際、受精卵を子宮に戻す前後にハ
リ治療を実施。ハリ治療のグループには、ハリ治療をせず通常の体外受精を行った。その結果、ハリ治療グループの妊娠率が42.5%に上がり、通常治療の
26.3%を大幅に上回った。体外受精のの妊娠率は、高くても三割程度とされた。繰返し治療を受けるカップルの精神的、金銭的な負担が問題になっている。
妊娠率が向上する詳しい理由は分からないが、同学会のサンドラ・カーソン次期会長は「確実に検証されれば、妊娠率向上に役立つ手法になる可能性があると注
目している。
「2002年4月30日 夕刊讀賣新聞の記事」(ワシントン 館林 牧子)

不妊治療の効果「針で」大幅改善
体外受精を5回 以上行っても妊娠できなかった不妊症の女性114人に針治療を行ったところ、約4割にあたる49人が妊娠に至ったと、名古屋市の明生鍼灸(しんきゅう)院
と明治鍼灸大の研究グループが10日、大阪市内で開かれている日本生殖医学会で報告した。49人のうち4人は自然妊娠だったほか、30人は治療後1回目の
体外受精で妊娠に成功したという。 不妊治療の専門家が集まる学会で、針治療による効果を示すデータが発表されるのは珍しい。 報告された114人の治療
実績は、1998年2月~2006年6月に、同鍼灸院を訪ねた不妊患者のうち体外受精を5回以上行っても妊娠しなかった女性のもので、治療は、週1~2回
のペースで行われ、腹部や足などにある婦人科疾患に効果があるとされるツボを針で刺激した。
(2006年11月10日 読売新聞)

アメリカの生殖医学学会誌より鍼灸が不妊治療に有効

胚移植日に鍼灸治療を行うと体外受精、顕微授精の妊娠率を上昇させる
胚移植日に鍼灸治療を行なうと体外受精、顕微授精の妊娠率を上昇させる273例を研究対象とし、鍼を行なわない組では22%の妊娠、鍼治療組では36%の妊娠率となり、鍼灸治療を行なった組に有意に妊娠率が高くなった。
2006年デンマークからの発表(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より

体外受精例に鍼灸治療を3回行い、はり治療群に妊娠率が高かった
体外受精と顕微授精例の黄体期に鍼治療を行なうと妊娠率が有意に高かった225例を対象としたもの。鍼灸を行なわなかった組では13.8%、行なった組では28.4%の妊娠率で、鍼灸治療組の妊娠率が高くなった。
2006年ドイツからの発表(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より

体外受精例に針灸治療を3回行い、針治療群に妊娠率が高かった
体外受精例に鍼治療を3回行い、鍼治療組に妊娠率が高くなった例228例を対象に、hMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後に鍼を行なった。行なわない組では23%、鍼治療組では31%の妊娠率で、有意差はなかったが、鍼治療組に妊娠率が高くなった。
2006年オーストラリアからの報告(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より

体外受精と併用された針灸治療は妊娠率を向上させる
British Medical Journal 2008年  アメリカからの発表(メリーランド大学、ジョージタウン大学産婦人科) 過去の7件の臨床試験のデータをまとめた。はり療法を併用した胚移植は、はり治療を受けた群の臨床的妊娠は1.65倍高く、継続中の妊娠は
1.87倍、生児分娩率は1.91高く、はり治療は妊娠率の高さと関連していた。
2008年アメリカからの報告(Fertility&Sterility(アメリカの生殖医学学会誌)より

中国国内の不妊鍼灸治療の記事

鍼治療で妊娠率アップ

「中国国内の不妊症の針灸治療の報道」(2002年4月18日)
「武 漢電」昨日、ドイツの研究チームによる中国武漢「同済病院」との合同研究の結果が発表された。針灸治療により体外受精妊娠率が50%近く向上するというも
ので、『妊娠と不妊症』という医学雑誌に掲載された。専門家によると針灸治療により子宮の筋肉の緊張がほぐされ、循環が改善されるためではないかという。
ただし、そうすることによってなぜ妊娠率がアップするかははっきり分からない。今後はもっと研究を進める必要があるという。研究チームは中国伝統医学に基
づいて子宮の筋肉をほぐすツボを使って、針灸治療を行う。また、ホルモンや自律神経の調整をすることによって、受精卵が子宮に着床しやすくなるという。研
究チームは鍼灸で脾経、胃経、腸経などの経絡を使って、子宮の気、血の循環がよくなり、妊娠率が向上しているのではないかとみている。
『新明日報』より

中国中医・西洋医科大学の鍼治療の研究

1980 年代に「中国江西中医大学」「中国上海第一医科大学」は生理不順の患者に対して、鍼灸治療を行う過程の中で、排卵促進率は54.4%まで上がると分かっ
た、生理不順患者の中不妊症患者が妊娠したと報告した。動物に実験で関元、気海、三陰交に電気針、2時間後に黄体生成ホルモンが最高値に達し、排卵反応も
観察された。研究結果では、鍼灸は不妊症患者の生殖内分泌機能に対する影響は大きく、黄体生成ホルモンに対する脳下垂体の反応を増強させ、排卵の促進に繋
がった。脳下垂体の反応が増強した結果、子宮内膜の厚みも増加した。また、鍼灸の免疫増強の働きで、免疫抗体が卵管の炎症、癒着などを修復し、卵管の開通
につながった

英大学教授の研究により、鍼灸の効果が証明

2012年9月14日14時31分

 鍼灸は中国の伝統医学であるが、その効果が西洋の近代科学によっても証明されるかどうかはこれまでずっと注目を集めてきた。英サザンプトン大学教授らは研究の結果、鍼灸の痛み緩和効果は確かに存在するとの見方を示した。新華網が報じた。

 英サザンプトン大学のGeorge Lewith教授らによる国際研究チームは「アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン」誌に報告を発表し「本
研究では、鍼灸に関するこれまでのランダム化比較試験29回、被験者約2万人の資料を調査した。『本物の鍼灸』と『偽物の鍼灸』を同時に行い、その効果を
比較した結果、本物の鍼灸は確かに背中、首、肩、頭の痛みを和らげ、関節炎の痛みを緩和する効果があることが分かった」とした。

 ここで言う「偽物の鍼灸」とは、鍼灸を行う際、非常に浅い部分もしくは間違った位置に針を刺すというもので、心理的要因による影響であるプラセボ効果を
取り除くため、医学研究で良く使われる比較方法。治療方法によっては、心理的な暗示作用のみで治療効果が出る場合もあるためだ。これまでも、多くの中医学
の治療効果がプラセボ効果が排除できないために議論の的となっていた。

 Lewith教授は「同研究により、鍼灸が確かに痛みを緩和する効果を持つことがわかった。現在、鍼灸はまだ幅広く普及している治療法ではないが、西洋医学界も徐々にその治療効果を認めるようになるだろう」と語る。

アメリカ鍼灸事情

2005年8月記事)
エビデンスに裏付けられた鍼の効果

 「腰がいたい」「頭がいたい」「疲れがとれない」といった不調な時、鍼に助けを求めるアメリカ人が増えている。ツボや気血といった用語も、「acupuncture
points(ツボ)」「Qi(気)」とすでに英語になっているほどだ。最近では健康ばかりでなく、美容効果も注目されている。エビデンスに裏付けられた鍼の効き目とは……。
鍼治療のメカニズム

 東洋医学では、人間の体には2000ヶ所を超える「ツボ」があるといわれている。ツボは、心身の健康を司るエネルギー「気血(きけつ)」の通り道「経絡(けいらく)」の上に点在する。
 この経絡を気血がスムーズに流れていれば健康を保てるが、逆に滞ると変調をきたし、病気になる。そこで、症状にあったツボを鍼で刺激し気血の流れを整えることで、頭痛や関節炎といった不調や病気が治るというわけだ。ツボを刺激すると、経絡を通じて脳や脊髄に刺激が伝わり、ホルモンなどの化学物質が分泌され体調を改善するといわれる。

アメリカで70年代に大ブーム

 鍼療法は2000年以上も前に中国で生まれた。アメリカで最初に鍼ブームが巻き起こったのは1971年。ニクソン大統領の中国訪問に同行したニューヨークタイムズ紙の記者が、現地で虫垂炎にかかり、鍼麻酔で手術を受けた。その体験を記事にしたことから俄かにアメリカ人の関心が高まった。ちなみに、アメリカ初の鍼療法センターは1972年7月12日にニューヨークでオープンしている。同センターはすぐに鍼療法をめぐる法的トラブルで閉鎖に追い込まれたが、同年12月には、首都ワシントンで再オープンした。

 今年になって発表された全国紙USAトゥデー、ABCニュース、スタンフォード大学医療センター共同の世論調査によると、アメリカで成人人口の5%が痛みを緩和するため鍼療法を受けているという。また、全米代替医療センター(National
Center for Complementary and Alternative Medicine)でも、ここ20年間に鍼療法が急速に普及していることを報告している。

 鍼療法を実践している医者の団体「米国鍼療法アカデミー」の登録メンバーも、1991年にはわずか200人だったのが今では2000人を超えるほどに膨れ上がっている。

 鍼のさまざまな効果については世界保健機構(WHO)も認めている。臨床実験に基づき発表した「鍼療法お勧め疾患リスト」には、腹痛、便秘、下痢、胃酸過多、胃潰瘍、大腸炎、腸閉塞、不眠、不安症、鬱、自律神経失調症、頭痛、手術後の痛み、パーキンソン病、神経症、関節炎、リウマチ、腰痛、筋肉痛、気管支炎、喘息、風邪、耳鳴り、鼻炎、眼精疲労、白内障、近視、網膜炎、歯痛、咽頭炎、更年期障害、不妊、生理痛、冷え性、血圧、慢性疲労、免疫力強化、ストレス緩和など、多岐にわたっている。

注目される美容効果

 鍼療法による評価が高まる中、新たに注目されはじめたのが「美容効果」。血行を促進し、顔の筋肉をリラックスさせ、肌を若返らせるツボを鍼で刺激する。そんな鍼プチ整形で、シワとりだけでなく、体全体がリラックスできると好評だ。

 米国形成外科医協会によると、2003年にシワとり治療を受けた患者は約12万8000人。治療費は1200ドルから2000ドルほどと、形成外科の治療よりも安いうえ、ケミカルを使わないことから、鍼プチ整形に向かう人々が、今後ますます増えるものと予想されている。

エビデンスも目白押し

 利用者が増えれば増えるほど、求められるのが効果のエビデンス(科学的根拠)。鍼でツボを刺激すると、痛みなどさまざまな症状が緩和されることは、これまでにも数々の研究の結果、証明されている。アメリカ発の最新エビデンスをいくつか紹介しよう。

 まずは、男性が原因の不妊解消から。アメリカで男性の10%が、精子に生殖力がないと推定される。推定300万組といわれる不妊に悩むカップルの約50%は男性の精子に問題があるという。今のところ生殖力のない原因は不明だ。

 バークレー生殖・女性の健康センター(Berkley Center for Reproductive Wellness & Women’s
Health)の研究結果によると、鍼療法で精子の生殖力が改善されたという。精子に問題のある男性40人を対象に、鍼の効き目を調査。2つのグループに分け、5週間にわたり28人に週2回鍼治療をし、12人には治療をしなかった。その結果、鍼治療を受けたグループに、生殖力のある健康な精子の数が増えていることが分かったという。

 一方、女性の不妊症については、2002年に発表されたドイツの研究報告で証明されており、以来、女性への不妊治療に鍼を組み入れる医者が急増しているという。

 ひざの骨関節症に対するエビデンスも話題を呼んでいる。NCCAMが資金を提供、内科学誌に掲載された研究報告では、ひざの関節症患者で50歳以上の男女570人を対象に、鍼治療の効果を調べた。

試験対象者を無作為に2グループにわけ、6ヶ月にわたり計23回の鍼治療を片方のグループに受けてもらい、もう片方のグループには偽の鍼治療を受けてもらった。その結果、偽の針治療を受けたグループに比べ、鍼治療グループで、8週間後に関節の動きがスムーズになったほか、6ヶ月後には関節の動きに加え、痛みが劇的に改善されたという。アメリカで関節症に苦しむ患者は約2100万人。既存医療との併用による医療効果が大きく期待されている。

 そして、腰痛。1980年以降に発表された鍼療法に関する22の研究論文を分析したメリーランド大学医学部の研究報告によると、約2年間にわたりデータを分析したところ、慢性の腰痛の症状改善に効果があることが認められたという。ただし、有効性は治療を受けてから最高で6ヶ月と短期間に限られている。

また、同調査では、鍼療法を受けたグループと、誤ったツボを刺激するといった偽の鍼療法を受けたグループを比較したところ、「偽組み」に比べ「本物組み」で症状の改善が確認されたことから、鍼療法がプラセボ効果でないことも指摘している。腰痛に悩むアメリカ人は約3100万人で、年間の医療費は500億ドルといわれている。

 エビデンスに裏付けられた鍼の効き目。健康から美容まで鍼療法への関心は今後もますます高まりそうだ

ドイツの鍼灸情報

ドイツでは、「補完代替医療(CAM)」が非常に盛んです。「妊婦の半数以上がCAMを利用した事がある」「頭痛・膝関節症・腰痛などに対する鍼治療の有
効性」など、多くの論文が発表されており、「多くのペインクリニックで鍼治療を行っている」「鍼治療に保険が適用され、需要が高まっている」など、たくさ
んの情報があります。そして最も注目すべき点は「CAMが国民だけでなく医療従事者にも浸透している」ところです。「CAMの知識」が医師には必須となっ
ており、医師の国家試験にも出題されます。ドイツでは、医師の約10%が代替医療を行っており、鍼を学ぶ医師も増えているそうです。

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