痛みについて
痛みは、”痛い”感覚と同時に”つらい”苦しい”といった。情動体験を持つものです。
また、痛みは感覚でもあり、感情でもあります。痛みを理解するためには、相手の立場に立って痛みを考える事が何よりも大切です。
痛みを理解するために、痛みの種類、性質、原因について良く理解し、また、心因性や、感情面にも配慮することが重要である。 痛みのしくみについては、下記を参照ください
・痛み分類
・痛みとは
・痛みの悪循環
痛みと鍼灸
当院では、患者さんを痛みから解放するためには、「痛みとは何か」を理解し、その種別と原因箇所を特定できれば、痛みは必ず無くせると信じています。
特に、筋肉や筋膜および神経系統の痛みには、痛み箇所以外の傷害を誘発するトリガーポイントが遠隔部に多く存在するものです。
鍼灸では血流の改善と神経刺激や内因性物質の作用を通じて痛みを取り除きます。
鍼灸の神経系への鎮痛効果
通常,痛みの刺激(侵害刺激)は末梢神経を介して脊髄に伝わり脳へと伝達されます.
たとえば,筋肉が痛みの原因となっている場合,痛みの部位に鍼刺激を行うことで,本来の痛みが脳まで到達せずに脊髄の部分で抑えることができます.
この抑制によって脳で痛みを感じなくなる,あるいは痛みを減弱して感じるようになります.
これはゲートコントロール理論と呼ばれていますが,鍼治療では,この性質を利用して鎮痛効果を得ることができます.
鍼灸の内因性物質による鎮痛効果
鍼治療の間に,鍼刺激によって体内で産生される鎮痛物質(エンドルフィン、内因性オピオイド)が放出されることが鍼の鎮痛効果として考えられています.
また.神経伝達物質や神経ホルモンの分泌の変化によって障害部位を正常化する作用があります.
鍼による刺激は視床下部および下垂体を活性化して多彩な全身的影響をもたらす可能性があると考えられています.
鍼灸の血行改善効果
組織の緊張を和らげることで,血管が拡張し血行が改善され,疲労の原因物質である乳酸や痛みの原因物質が除去される作用により,筋の拘縮が改善されます.
また神経根の周囲の血行や圧迫も改善され,神経痛やむくみにも効果があります.また,経穴(ツボ)に鍼刺激を与えることで鎮痛効果が得られることができます.
東洋医学では,人体に経絡というツボの経路があり,外傷や内臓に変化があると経絡上になんらかの異常が出るとされています.
経絡の性質を利用した治療では,たとえば,胃腸の痛みや,生理痛など直接患部を刺激しなくても同等の鎮痛効果が得られることができます.
近年は,経絡の効能についても科学的な研究が行われており,研究成果からは鍼刺激が末梢神経の痛みのインパルスを遮断するしていると言われています.
さらに生態のホメオスターシスにより痛みの根本原因を改善,治癒することができます .
痛みの分類
原因別に分類すると・侵害された痛み(体性痛・内臓痛)・神経障害の痛み・心因性の痛みに分けられる。
1.
侵害性疼痛
体性痛と内臓痛に分けられる。
・体性痛は、皮膚・骨格・筋肉などで痛覚神経の興奮で起こる
・内臓痛は、痛みの場所がハッキリせず、うずくような痛みである。しばしば自律神経に影響する。
2.
神経因性疼痛
神経伝達系に障害がある痛みで
・締め付け、焼き付けるような持続性と発作的な強い痛みが特徴
・知覚の麻痺や痛みの過敏になる
ヘルペスや神経引抜損傷などに認められる
3.
心因性疼痛
体に異常がないのに存在する痛みで、心因的影響で場所や強さが異なる特徴がある。
国際疼痛学会の分類は
・筋緊張性の痛み(緊張型頭痛)
・うつ病に伴う痛み
・ヒステリー、心気症の痛み
・幻覚性の痛み
痛み刺激
痛みの感覚は、大脳で感じている、・組織が刺激を受けるー>神経伝達ー>大脳 と伝達される。
神経の伝道路の途中で起きる有害な刺激は、侵害受容器のある場所に痛みを感じる。
この投射痛は臨床的に重要である。
投射痛発生の模式図
(はりきゅう理論 梶@日本の医道社より)
・
痛み刺激
痛みは、圧迫などの機械的刺激に反応する早い痛みと全ての刺激に反応し、伝達の遅く、不明瞭でうずくような痛みを生じる遅い痛みがある。
この遅い痛みは、体に多くの影響を及ぼす。
<感覚神経分類>
区分 |
太さ |
伝達速度 (m/秒) |
|
筋・腱 |
太い(12〜21μm) |
70〜120 |
運動時に活躍 |
触覚・圧力 |
中(6〜12μm) |
30〜70 |
触られる感覚 |
痛み・冷感 |
細い(1〜6μm) |
12〜30 |
冷たい痛み |
痛み・温感 |
細い(1μm以下) |
0.5〜2 |
温度と痛み |
痛み悪循環
・
痛みの悪循環
損傷されると組織中に痛み物質(ブラジキニン・ヒスタミンなど)が放出される。そのため悪循環が起きる
1・痛み反射で交感神経を興奮させる
2・交感神経で血管縮小で虚血になり、酸欠で組織崩壊
3・組織崩壊で傷み物質放出
4・傷み物質でさらに強い痛み発生
痛みー>虚血=>痛み物質=>痛み増加=>虚血増加=>・・・・・・・・・・・・・・悪循環発生
関連痛
(はりきゅう理論 梶@日本の医道社より)
・
関連痛
内臓の刺激は、体表に痛みを起こすことがある。
内臓の痛み伝達ルートと体表の痛みルートが同じところで収束された時に起き、脳は、内臓でなく体表と判断してしまう。