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アトピー性皮膚炎の治療記:アトピーと筋肉の状態の関係性

あけび鍼灸院スタッフの中島です。
あけび鍼灸院ではアトピー性皮膚炎について、鍼灸や動作改善による改善も行っています。
しかし、アトピー性皮膚炎と鍼灸や動作改善との関係性について、疑問を持つ方もいらっしゃるかと思いますので、
私の治療経験を踏まえて、ご紹介していきたいと思います。
シリーズとして書いています。今回はその3回目です。
解剖学の視点からアトピー性皮膚炎の症状を見る
長いことアトピー疾患が続くと、どうなったら痒みが増すのか、いやでもわかってくることがあると思います。
その症状の出方は、「私はいつも肘と首が痒い」た「汗をかくと痒い」など、人によってさまざまです。
ある程度経ってくると、同じ場所に繰り返し症状が現れやすい箇所が出てくることがあります。
なぜ、同じ場所に繰り返し症状が出るのでしょうか。
私自身が解剖学を学ぶに連れて、その疑問の1つの仮説が見えてきました。
それは
「アトピー性皮膚炎は特定の筋肉の筋に沿って発症しやすいのではないか」
ということです。
そして自身の治療経験や様々な症例を見ていく中で特定の筋肉の筋にそって発生しやすい傾向があるのでは?ということに
確信を深めていくことになります。
特定の筋肉の筋(繊維)とアトピー性皮膚炎
特定の筋肉に沿ってアトピー性皮膚炎が発症することについて事例を見ていきましょう。
お見苦しい写真で恐縮ですが、私がアトピー性皮膚炎を発症していたころの写真です。
首の全面にわたってアトピー性皮膚炎の症状が現れているのがわかりますが、
よく見ると症状の比較的軽い部分もあるのがわかります。
なぜこのように症状にばらつきがあるのか不思議でした。
そこで解剖学を学び、筋肉の位置と皮膚に現れているアトピー性皮膚炎の症状の関係性を調べてみました。
下記に参照する解剖図を見比べてみてください。
特定の筋肉がある皮膚の上には、症状が出ていない皮膚があり、その逆に特定の筋肉のある皮膚の上では症状が比較的重いことがわかります。
その二つの筋肉の
境目で症状は明らかに変わります。
この結果から、特定の筋肉の上にある皮膚にはアトピー性皮膚炎が生じやすい、ということが考えられました。
筋肉の状態とアトピーの関係性
では皮膚炎が生じていた筋肉とはどんな筋肉なのでしょうか。以下に挙げるのがその筋肉です。
・広頚筋
・胸鎖乳突筋
・僧帽筋
・肩甲挙筋等
これらは実は「肩凝り、首凝り」などの症状が生じやすい肩・首周りの筋肉群として知られています。
鍼灸の治療では、肩こり・首こり治療のときに、この肩周り・首周りの筋肉群の状態を確認します。
実は、これらの筋肉は凝りやすく、血流が悪いことが多いのです。
慢性的な肩凝りで悩む方はだいたい同じ箇所が凝ります。
肩こり・首こりの原因というのは、姿勢が原因のことが多いのですが、
それ以外にも同じような動作を繰り返し行ったり、ストレスで体が緊張しているとき(肩に力が入っている)、などが考えられています。
そうすると筋肉の緊張状態が長く続いたり、筋肉が伸び縮みしないで固まって、血流が悪くなって疲労物質がたまり、肩こり・首こりの症状として現れます。
つまり、血流を含めて体液の循環が悪くなることがこれらの「こり」の原因として考えられるのです。
そしてそのこりの出やすいところにアトピー性皮膚炎が生じている、という関係性が成り立つと考えられるのです。
掻くという行為は筋肉の状態を良くしようとする体の反応
それと同じように、アトピー疾患の方も痒みのために同じ動作をしてしまう、皮膚炎が気になって仕事などで同じ動きをしてしまうなど、
特定の筋肉を使いすぎる傾向があります。それによって凝り、血流が悪くなってしまうことが多いのです。
そもそも「掻く」という行為は、外部からの刺激によって血流を良くしようという目的で脳が身体に「掻く」という行為に繋がっていると考えられます。
掻くことで脳は、「報酬系」という欲求が満たされた時に活性化し快を与える神経系が興奮します。
身体にとって必要、やってほしいからこそ、報酬系が活性化するのです。
しかし、掻くことにより皮膚のバリア性が失われるので、さらに皮膚炎が悪化し、より体は掻くことを求めるという悪循環になってしまうようです。
この悪循環を断ち切るためには、その皮膚の下にある筋肉の状態にこそ、目を向けてあげる必要がありそうです。
もちろん、アトピーの原因はそれだけではありませんが運動療法や、体内循環に目を向けると何か突破口が開けるかもしれません。