世界の鍼灸情報

世界の鍼灸事情です。日本より医療として活用している国もあります。

英大学教授の研究により、鍼灸の効果が証明

2012年9月14日14時31分

 鍼灸は中国の伝統医学であるが、その効果が西洋の近代科学によっても証明されるかどうかはこれまでずっと注目を集めてきた。英サザンプトン大学教授らは研究の結果、鍼灸の痛み緩和効果は確かに存在するとの見方を示した。新華網が報じた。

 英サザンプトン大学のGeorge Lewith教授らによる国際研究チームは「アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン」誌に報告を発表し「本
研究では、鍼灸に関するこれまでのランダム化比較試験29回、被験者約2万人の資料を調査した。『本物の鍼灸』と『偽物の鍼灸』を同時に行い、その効果を
比較した結果、本物の鍼灸は確かに背中、首、肩、頭の痛みを和らげ、関節炎の痛みを緩和する効果があることが分かった」とした。

 ここで言う「偽物の鍼灸」とは、鍼灸を行う際、非常に浅い部分もしくは間違った位置に針を刺すというもので、心理的要因による影響であるプラセボ効果を取り除くため、医学研究で良く使われる比較方法。治療方法によっては、心理的な暗示作用のみで治療効果が出る場合もあるためだ。これまでも、多くの中医学の治療効果がプラセボ効果が排除できないために議論の的となっていた。

 Lewith教授は「同研究により、鍼灸が確かに痛みを緩和する効果を持つことがわかった。現在、鍼灸はまだ幅広く普及している治療法ではないが、西洋医学界も徐々にその治療効果を認めるようになるだろう」と語る。

アメリカ鍼灸事情

2005年8月記事)
エビデンスに裏付けられた鍼の効果

 「腰がいたい」「頭がいたい」「疲れがとれない」といった不調な時、鍼に助けを求めるアメリカ人が増えている。ツボや気血といった用語も、「acupuncture
points(ツボ)」「Qi(気)」とすでに英語になっているほどだ。最近では健康ばかりでなく、美容効果も注目されている。エビデンスに裏付けられた鍼の効き目とは……。
鍼治療のメカニズム

 東洋医学では、人間の体には2000ヶ所を超える「ツボ」があるといわれている。ツボは、心身の健康を司るエネルギー「気血(きけつ)」の通り道「経絡(けいらく)」の上に点在する。
 この経絡を気血がスムーズに流れていれば健康を保てるが、逆に滞ると変調をきたし、病気になる。そこで、症状にあったツボを鍼で刺激し気血の流れを整え
ることで、頭痛や関節炎といった不調や病気が治るというわけだ。ツボを刺激すると、経絡を通じて脳や脊髄に刺激が伝わり、ホルモンなどの化学物質が分泌さ
れ体調を改善するといわれる。

アメリカで70年代に大ブーム

 鍼療法は2000年以上も前に中国で生まれた。アメリカで最初に鍼ブームが巻き起こったのは1971年。ニクソン大統領の中国訪問に同行したニューヨー
クタイムズ紙の記者が、現地で虫垂炎にかかり、鍼麻酔で手術を受けた。その体験を記事にしたことから俄かにアメリカ人の関心が高まった。ちなみに、アメリ
カ初の鍼療法センターは1972年7月12日にニューヨークでオープンしている。同センターはすぐに鍼療法をめぐる法的トラブルで閉鎖に追い込まれたが、
同年12月には、首都ワシントンで再オープンした。

 今年になって発表された全国紙USAトゥデー、ABCニュース、スタンフォード大学医療センター共同の世論調査によると、アメリカで成人人口の5%が痛みを緩和するため鍼療法を受けているという。また、全米代替医療センター(National
Center for Complementary and Alternative Medicine)でも、ここ20年間に鍼療法が急速に普及していることを報告している。

 鍼療法を実践している医者の団体「米国鍼療法アカデミー」の登録メンバーも、1991年にはわずか200人だったのが今では2000人を超えるほどに膨れ上がっている。

 鍼のさまざまな効果については世界保健機構(WHO)も認めている。臨床実験に基づき発表した「鍼療法お勧め疾患リスト」には、腹痛、便秘、下痢、胃酸
過多、胃潰瘍、大腸炎、腸閉塞、不眠、不安症、鬱、自律神経失調症、頭痛、手術後の痛み、パーキンソン病、神経症、関節炎、リウマチ、腰痛、筋肉痛、気管
支炎、喘息、風邪、耳鳴り、鼻炎、眼精疲労、白内障、近視、網膜炎、歯痛、咽頭炎、更年期障害、不妊、生理痛、冷え性、血圧、慢性疲労、免疫力強化、スト
レス緩和など、多岐にわたっている。

注目される美容効果

 鍼療法による評価が高まる中、新たに注目されはじめたのが「美容効果」。血行を促進し、顔の筋肉をリラックスさせ、肌を若返らせるツボを鍼で刺激する。そんな鍼プチ整形で、シワとりだけでなく、体全体がリラックスできると好評だ。

 米国形成外科医協会によると、2003年にシワとり治療を受けた患者は約12万8000人。治療費は1200ドルから2000ドルほどと、形成外科の治
療よりも安いうえ、ケミカルを使わないことから、鍼プチ整形に向かう人々が、今後ますます増えるものと予想されている。

エビデンスも目白押し

 利用者が増えれば増えるほど、求められるのが効果のエビデンス(科学的根拠)。鍼でツボを刺激すると、痛みなどさまざまな症状が緩和されることは、これまでにも数々の研究の結果、証明されている。アメリカ発の最新エビデンスをいくつか紹介しよう。

 まずは、男性が原因の不妊解消から。アメリカで男性の10%が、精子に生殖力がないと推定される。推定300万組といわれる不妊に悩むカップルの約50%は男性の精子に問題があるという。今のところ生殖力のない原因は不明だ。

 バークレー生殖・女性の健康センター(Berkley Center for Reproductive Wellness
& Women’s

Health)の研究結果によると、鍼療法で精子の生殖力が改善されたという。精子に問題のある男性40人を対象に、鍼の効き目を調査。2つのグループに
分け、5週間にわたり28人に週2回鍼治療をし、12人には治療をしなかった。その結果、鍼治療を受けたグループに、生殖力のある健康な精子の数が増えて
いることが分かったという。

 一方、女性の不妊症については、2002年に発表されたドイツの研究報告で証明されており、以来、女性への不妊治療に鍼を組み入れる医者が急増しているという。

 ひざの骨関節症に対するエビデンスも話題を呼んでいる。NCCAMが資金を提供、内科学誌に掲載された研究報告では、ひざの関節症患者で50歳以上の男女570人を対象に、鍼治療の効果を調べた。

試験対象者を無作為に2グループにわけ、6ヶ月にわたり計23回の鍼治療を片方のグループに受けてもらい、もう片方のグループには偽の鍼治療を受けても
らった。その結果、偽の針治療を受けたグループに比べ、鍼治療グループで、8週間後に関節の動きがスムーズになったほか、6ヶ月後には関節の動きに加え、
痛みが劇的に改善されたという。アメリカで関節症に苦しむ患者は約2100万人。既存医療との併用による医療効果が大きく期待されている。

 そして、腰痛。1980年以降に発表された鍼療法に関する22の研究論文を分析したメリーランド大学医学部の研究報告によると、約2年間にわたりデータ
を分析したところ、慢性の腰痛の症状改善に効果があることが認められたという。ただし、有効性は治療を受けてから最高で6ヶ月と短期間に限られている。

また、同調査では、鍼療法を受けたグループと、誤ったツボを刺激するといった偽の鍼療法を受けたグループを比較したところ、「偽組み」に比べ「本物組み」
で症状の改善が確認されたことから、鍼療法がプラセボ効果でないことも指摘している。腰痛に悩むアメリカ人は約3100万人で、年間の医療費は500億ド
ルといわれている。

 エビデンスに裏付けられた鍼の効き目。健康から美容まで鍼療法への関心は今後もますます高まりそうだ

ドイツの鍼灸情報

ドイツでは、「補完代替医療(CAM)」が非常に盛んです。「妊婦の半数以上がCAMを利用した事がある」「頭痛・膝関節症・腰痛などに対する鍼治療の有
効性」など、多くの論文が発表されており、「多くのペインクリニックで鍼治療を行っている」「鍼治療に保険が適用され、需要が高まっている」など、たくさ
んの情報があります。そして最も注目すべき点は「CAMが国民だけでなく医療従事者にも浸透している」ところです。「CAMの知識」が医師には必須となっ
ており、医師の国家試験にも出題されます。ドイツでは、医師の約10%が代替医療を行っており、鍼を学ぶ医師も増えているそうです。

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